2020/06/11 16:09
台湾の新年とは
多くの日本人にとって、一年で最も重要なイベントといえばお正月ですよね。
家族や親戚で集まり、みんなでおせち料理を食べて、家でゆっくり過ごしたり初詣に行ったりして過ごすのが一般的ではないでしょうか。
台湾(中華圏)では、西暦の新年と旧暦の新年で、毎年新年が2回あります。
その2回のうち、台湾人にとって特に重要なのが旧暦の新年。
台湾人の西暦の新年と旧暦の新年の過ごし方についてお伝えします。
台湾人の西暦の新年の過ごし方
日本人の大晦日の過ごし方といえば、年越しそばを食べながら紅白歌合戦を見て、除夜の鐘を聞いて、……と、厳かな雰囲気で過ごすことが多いと思います。
台湾人の西暦の新年の過ごし方は、どちらかというとにぎやかです。
有名なのは台北101の花火
2004年の1月1日から始まった台北101の花火は、台湾の西暦の新年の名物だといえるでしょう。
まるで台北101が燃えているかのような、とても華やかな花火が毎年見られます。
数年前には「もう今年で終わり」という噂もありましたが、今に至るまで毎年行われています。
台北101以外でも、小規模ではありますが各地で花火が行われることも多いので、1月1日になった瞬間はとてもにぎやかです。
ちなみに台湾でもカウントダウン番組があり(歌番組が多いよう)、テレビや実際の会場でそれを見ながら新年を迎える人もいるようです。
日本のテレビを見られる機器を利用すれば、多少のタイムラグはあっても、紅白歌合戦やカウントダウン番組を台湾にいながら楽しむことも実は可能です。
紅白歌合戦は、年が明けて少ししてから、日本の番組を中国語字幕付きで放映している台湾のチャンネルで見ることもできます。
西暦の新年は元日のみ休み
日本では年末年始にかけて毎年大きな連休になりますが、台湾ではメインのお休みとなるのは旧暦の新年。
そのため、西暦の新年は1月1日のみ休みとなります。
2018年から2019年にかけては、12月31日(月)を休みにして、12月29日から1月1日まで4連休となりました。
最近は台湾でも、このように休みに挟まれた平日を休みにして連休になることもありますが、基本的には1月1日のみが休みです。
「新年快樂!(あけましておめでとう)」は年が明ける前にも使う
日本人は大晦日までは「良いお年を」、1月1日になって初めて「あけましておめでとう」と言いますよね。
中国語で「あけましておめでとう」にあたる「新年快樂」は、クリスマスが過ぎたあたりから言われることもあります。
筆者が台湾に住み始めて初めての年末、年が明ける前に「新年快樂」と声を掛けられた時は、「まだ新年じゃないよ」と思っていました。
でも、在住年数が長くなるにつれて、「もしかしてこれって「良いお年を」の意味で使われているのかも」と思うようになりました。
先ほどもお伝えしたとおり、台湾人にとっては旧暦の新年のほうが重要です。
そのせいか、西暦の新年になって誰かと初めて会っても「新年快樂!」と言うことはあまりありません。
日本人からしたら不思議な感覚ですが、台湾人にとっては、旧暦の新年を迎えて初めて「新年を迎えた」という感覚なんだと思います。
日本人からするとあまり年末年始の実感がわかない
亜熱帯~熱帯に属する台湾、北部の冬は雨が多く、湿度が高いせいで体感温度が下がって冷える日もあります。
でも、天気がいい時には12月でも30度近くまで気温が上がることも。
日本の12月といえば、乾燥していて毎日カラッと晴れていて、風が冷たくて……という印象が強く、寒さから「もうすぐクリスマス(年末年始)だな」と感じることもあるでしょう。
肌が乾燥しにくいのはうれしいけれど、年末年始だという実感は年々薄れてきています。
(もちろん気候の関係だけでなく、台湾人が旧暦の新年を重視することなども関係しますが)
台湾人の旧暦の新年の過ごし方
台湾(中華圏)の人にとって一年で一番大切なイベントが旧暦の新年です。
旧暦の新年は毎年少しずつ変わりますが、だいたい1月下旬から2月中旬の間に旧暦の新年を迎えることが多いです。
台湾人が旧暦の新年にすること
旧暦の大晦日は、大掃除をすることが多くなっています。
これは日本の年末の過ごし方と似ていますね。
大掃除をしながら、春聯というドアに貼る新年の飾りを貼り替えたりもします。
大部分の台湾人はイベントごとに拜拜(お参り・お祈り)をするのが習慣となっていて、旧暦の新年にも拜拜は欠かせません。
家や近くのお寺に行って、新しい年も平和に過ごせるよう祈ります。
あとは家族みんなで食事をしたり、親戚の家に行ったり、麻雀をしたり、家庭によってもいろいろです。
日本のお正月で、子どもが楽しみにしているものといえばお年玉ですよね。
台湾にも旧暦の新年にお年玉を渡す習慣があり、基本的には日本と同じように大人から子どもへ渡します。
お年玉は、紅包という結婚式のご祝儀を渡す時などにも使われる、赤い袋に入れます。
上の写真の下のほうにも写っていますが、ハローキティやキキララなど、キャラクターものの紅包も。
日本では、お年玉は基本的に大人から子どもにあげるのが習慣ですよね。
台湾では、すでに成人して働いている子どもが両親にお年玉をあげることもあります。
家庭によって異なると思いますが、独立した子どもが両親の生活費を援助する(一緒に住んでいない場合でも)ということもよくあります。
そのため、このような子どもから親へのお年玉も珍しくありません。
新年の2日目は、結婚している人はお嫁さんの実家に行くのが習慣となっています。
日本人妻である筆者は、毎年この時に「私も日本に帰りたい!」と思うのですが、残念ながらすぐに帰れる距離ではないので、普通の休みの日と過ごし方はあまり変わりません。
みんなでスクラッチくじを楽しむ
旧暦の新年に家族みんなで楽しむことの一つにスクラッチくじ(刮刮樂)があります。
なぜ旧暦の新年にスクラッチくじなのかはよくわかりませんが、「新年の運試し」といったところでしょうか。
スクラッチくじは、普段は100元や200元のものが中心に販売されていますが、旧暦の新年には2000元や5000元の金額が大きいくじも販売されます。
いつもはスクラッチくじを買わない人でも、この時ばかりはみんなで楽しみます。
旧暦の新年期間中は個人経営のお店などはお休みであることがほとんどです。でも、スクラッチくじのお店はもちろん営業。たくさんの人で大にぎわいです。
旧暦の新年の連休を使って海外旅行に行く人も
最近は台湾でも少しずつ連休が増えてきていますが、日本と比べると大型連休はあまりありません。
数少ない大型連休の一つが、旧暦の新年。この連休を使って海外旅行に行く人も多いです。
日本のゴールデンウィークなどの連休と同じように、旧暦の新年の期間中に出国しようとすると、航空券はいつもの2倍くらいの値段に。
それでも、「この時しか旅行に行けないから」と出国する人も多いようです。
おわりに
台湾の西暦・旧暦それぞれの新年の過ごし方は、日本とは大きく異なります。
日本人にとって一番大切な西暦の新年、台湾人にとって一番大切な旧暦の新年に共通するのは、「家族や親戚みんなで集まって過ごす」ことでしょうか。
新しい年の始まりを大切な家族と一緒に迎えたいと考えるのは、日本でも台湾でも同じなのかもしれませんね。
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